『量子の世界をみる方法「スピン」とは何か』を読みました。

表紙

以前『ニュートン式超図解 最強に面白い!!素粒子』を読んだときに「電子のスピンによって磁石が構成される仕組み」に興味を持ち、そもそも「スピン」がなんなのか知りたくて本書を読みました。前半はスピンにたどり着くまでの研究史が中心で、電車に乗りながら気楽に読めましたが、中盤以降は理論的な説明が難しくて腰を据えてじっくり読まないと話についていけず、結局最後は読み飛ばしながらキーワードを拾いあげていく感じになってしまいました。しかしながら、電子を特徴づける量子数や素粒子の標準模型についてより詳しい描像が得られ、以前学んだ内容とリンクすることも多くあって、知識の整理ができました。

どの程度合ってるか分かりませんが、磁石についての私の理解は以下の通り。

  • スピン(スピン角運動量)は粒子が持つ固有の物理量であり、その値によって粒子はフェルミ粒子やボース粒子に分類できる。
  • スピン角運動量によりスピン磁気モーメントが生じる。磁気モーメントは磁石の強さを表す量。
  • 磁石の性質は電子のスピンによって生じる。原子が閉殻構造を持つ場合、その電子によるスピンは打ち消し合うため磁性を持たない。原子が不完全殻構造を持つ場合、スピンが打ち消されずに残るため磁性が現れる。このような原子を磁性原子と呼ぶ。
  • 磁性原子からなる化合物を磁性化合物と呼ぶ。磁性化合物内において磁性原子のスピンが一方向に揃っている場合は強い磁気モーメントを示す強磁性体になる。また磁性原子の並び方や磁場の有無によってフェリ磁性体や反強磁性体といった様々なタイプの磁性体が生じる。

プランク定数やフェルミ粒子・ボース粒子の話は、以前読んだ以下の本の知識が役に立ちました。

目次
- プロローグ 身のまわりのスピン
- 第1章 量子力学とスピンが生まれるまで
- 第2章 スピンの物理
- 第3章 陽子にもスピンがある
- 第4章 すべての素粒子はスピンをもつ
- 第5章 整列するスピン
- 第6章 量子ビームでみるスピン
- 第7章 スピンが拓く未来社会