『プロダクトマネジメント ― ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』を読んだ
『プロダクトマネジメント ― ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』を読みました。
タイトルにある「ビルドトラップ」とは以下のような状況を指すそうです。
ビルドトラップとは、組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして、行き詰まっている状況のことです。実際に生み出された価値ではなく、機能の開発とリリースに集中してしまっている状況です。
この本は、ビルドトラップに陥らず、プロダクト主導の組織を作り上げる方法と、その牽引役であるプロダクトマネージャーの責務や役割について、架空の企業「マーケットリー」を通じて紹介しています。
組織がプロダクト主導に転換するためには、虚栄の指標(ページビュー数など)や生産性の指標(リリース数など)ではなく、ユーザの問題の解決やビジネス目標の実現といったアウトカムに焦点を当てて評価するように組織のマインドセットを変えていく必要があります。アウトカムを生み出すために、プロダクトマネージャーはユーザの課題を探り理解し、解決すべき課題や作るべきプロダクトを見極め、その方向性をプロダクトチームに示し、彼らを納得させる役割が求められます。一方、プロダクトチームは示された方向性に従い、プロダクトの開発を担当します。プロダクトマネージャーはプロダクトチームを信頼し、開発プロジェクトのマネジメントをチームに委ねることで、自身はプロダクトのビジョンやユーザの課題の探索といった仕事に集中します。適切な戦略を策定しプロダクトチームに浸透させることで、チームが自律的に判断を下す余地を与えつつもビルドトラップに陥らないようにします。
実のところ、プロダクトマネージャーの役割についてほとんど理解していなかった(すみません・・・)のですが、この本を読んでだいぶ自分なりに説明できるようになったと思います。同時に、これまで自分でプロダクトマネジメント的なことをやろうとして見事にビルドトラップにはまっていたことに気付きました。
どの話も参考になりましたが、中でも「戦略とは計画ではなく意思決定のためのフレームワークである」という指摘や、「プロジェクトマネージャー/プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーの役割の違い」といった話は特に印象に残りました。これからも繰り返し読み返したい一冊です。