長年積ん読になっていた『リーンスタートアップ ― ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす』を読みました。

表紙

本書ではスタートアップを「とてつもなく不確実な状態で新しい製品やサービスを作り出さなければならない人的組織」と定義し、いわゆるベンチャー企業にとどまらないものとしています。そしてリーンスタートアップとは「スタートアップの成功確率を高める方策を集めたもの」だといいます。スタートアップという不確実な状態の中で検証による学びを通して道を見つけ、イノベーションを継続的に実現していくための体系だった手法を紹介しています。

リーンスタートアップはアジャイル開発といった個人的に慣れ親しんだ手法を下敷きにしているため、何となく分かった気になってしまっていたのが積ん読されていた理由でした。具体的には「小さなチーム・小さなバッチサイズで MVP を作り、素早くフィードバックループを回して仮説検証・ピボットしていく」というざっくりとした理解をしていました。このループは学びを重視するリーンスタートアップの根幹を成す重要なプロセスではありますが、ループを回すこと自体は目的ではなく、ループを通してどんな仮説を検証し何を学んでいくべきか、そこの理解が不十分だったとわかりました。本書では仮説・スタートアップの成長エンジン・ピボットの種類などを分類整理し、仮説検証を通して学ぶべきことを実例とともに示してくれています。個人的に特に大きな学びだったのは成長エンジンの考え方で、事業や市場にフィットした成長エンジンが分かればどこに注力すればいいか決まり、他の無駄を排除できるというのはなるほどと思いました。

折に触れて読み返していきたい一冊です。