• 2016/04/26 : ready イベントの使い方にミスがあったため修正しました。Jxck さんに指摘していただきました。ありがとうございます。
  • 2016/04/26 : claim() の挙動は Jxck さんの screen cast によるチュートリアルが分かりやすいです (中級者向け Service Worker Tutorial - blog.jxck.io)。

Service Worker のスコープとページコントロールについて解説する記事のその 2 です。既に Service Worker の基本について理解していて、かつ、前回の記事を読んでいることを前提にしています。今回は「まだコントロールされていないページをコントロール状態にする claim()」について紹介します。claim() は Chrome ではバージョン 42 から使用することができます (リリースノート)。

ページコントロールが始まるタイミング (前回の復習)

前回の記事で「Service Worker がページをコントロールするかどうかは、そのページを開いた時に判断される」と説明しました。次のコードは前回の記事からのコピーで、ページを開いた後に登録された Service Worker が、そのページを直ちに (初回ロード時) にコントロールすることはないことを示しています。

// /scope/will-be-controlled.html
navigator.serviceWorker.register('sw.js', {scope: '/scope/'})
  .then(function(registration) {
      // 登録成功!
      return navigator.serviceWorker.ready;
    })
  .then(function(registration) {
      // アクティベートされたが、この時点では
      // このページ '/scope/will-be-controlled.html' はコントロールされていない。
      assert_true(navigator.serviceWorker.controller == null);
    });

ちなみに二回目以降のロードでは既に Service Worker が登録されているため、controller は non-null になります。よって、開発中に初回ロード時の挙動をテストするには DevTools などから登録情報を削除する必要があります。また、同じ Service Worker スクリプトとスコープに対して register() を複数回呼んだ場合、登録済みの registration が返ってきます。registration についてはそのうち別の記事を書くかもしれません (2015/07/05 追記: Registration について書きました)。

まだコントロールされていないページをコントロール状態にする

上記のコードのままだと初回ロード時は Service Worker によってコントロールされません。これを解決するにはページロード時以外にページコントロールを開始させる方法があると良さそうです。それが claim() です。

claim() は Service Worker 側のスクリプトで使います。Service Worker の実行コンテキスト ServiceWorkerGlobalScope は clients というフィールドを持っています。これは現在ブラウザで開いているページのうち、この Service Worker と同じオリジンに属するページ一覧のコンテナとなっています。例えば、次のように使います。

// sw.js
var promise = self.clients.matchAll({includeUncontrolled: true})
  .then(function(clients) {
      // clients は現在開いているページ (client) を保持する。
      // ページの visibilityState を取得したり、postMessage で通信したりできる。
    });

この clients に claim() は生えているのですが、ここで一旦 claim() は横に置いておき、Client についてもう少し説明します。

Service Worker の仕様では Service Worker Client というモデルを定義しています。これは Service Worker によってコントロールされうる実行コンテキストへのインタフェースとなっていて、Window コンテキストの場合は WindowClient、Worker コンテキスト (SharedWorker など) の場合は WorkerClient というものに関連付けられています。そしてこれらをまとめて Client と呼びます。本記事では以後、コントロール対象のページをクライアントと呼ぶことにします。

さて、話を claim() に戻します。clients.claim() は同一オリジン内のクライアントに対してこの Service Worker がコントローラーになることを要求します。claim() を使用したコードは次のようになります。

// sw.js
self.addEventListener('activate', function(event) {
    event.waitUntil(self.clients.claim());
  });

claim() は activate された Service Worker 上で呼ぶ必要があります。ここでは activate イベント内で呼ぶことでそれを保証しています。waitUntil() は引数に渡された promise が resolve されるまでイベントのライフタイムを延長します。これにより activate イベント終了時に claim() の実行が終わっていることを保証します。

clients.claim() は各クライアントに対して、呼び出し元の Service Worker でコントロールできるかどうかを判定するわけですが、その判定条件は前回の記事で紹介したとおりです。大雑把に言うと次のようになります。

  • クライアントの URL がこの Service Worker のスコープ内に含まれているか
  • クライアントの URL が最長一致のルールに合致しているか

以上の条件に合致したクライアントはこの Service Worker によってコントロールされ始めます。

コントロールの開始

Service Worker の activate イベント内で claim() の終了を待ってあげれば、最初のクライアント側のコードは特に変更せずにそのまま使えます。

新たにコントロールされることになったクライアントには controllerchange イベントが発火します。もし ready の代わりに使う場合は次のように書けます (ready を使った方がシンプルだと思いますが)。

(2016/04/26 追記: controller がセットされるのを待つ場合は ready イベントではなく controllerchange イベントを待つようにしてください。ready イベントは activate イベントの直前 (claim() によって controller が変わる前) に発火します (仕様))。

// /scope/will-be-controlled.html
var controller_change_promise = new Promise(function(resolve) {
  navigator.serviceworker.addEventListener('controllerchange', resolve);
});

navigator.serviceWorker.register('sw.js', {scope: '/scope/'})
  .then(function(registration) {
      if (navigator.serviceWorker.controller) {
        // 既にコントロール状態 (二回目以降のロード時)
        return;
      }
      // コントロールされるのを待つ (初回ロード時)
      return controller_change_promise;
    })
  .then(function() {
      assert_true(navigator.serviceWorker.controller);
    });

まとめ

  • Service Worker のコントロール対象をクライアントと呼ぶ
  • Service Worker がクライアントをコントロールするかどうかは、基本的にはそのクライアントをロードした時に判断される
  • claim() を使うとまだコントロールされていないクライアントをコントロール状態にできる
  • claim() は初回ロード時からコントロールさせたい場合に有用

次回は claim() と紛らわしいと評判の skipWaiting() について紹介する予定です。