年明け早々に次男が生まれたので育児休暇を取得し、3 月初めに仕事に復帰しました1。この記事では育児休暇中に感じたことなどを書いてみます。

なお、すべて個人的な体験談であって所属している会社の見解などを表しているわけではありません。

はじめに

まずはじめに私の置かれていた状況を紹介します。人によって状況が違うと思うので、その辺りを踏まえて読んでもらえれば。

私は米国資本の会社でソフトウェアエンジニアとしてオープンソースソフトウェア (Chromium) の開発に従事しています。このプロジェクトには世界中の会社や個人の開発者が参加していて、私の休暇状況とは関係なくメールが来たり、コードレビューの依頼が来たりすることがあります。妻は専業主婦です。長男は三歳の未就園児で、次男出産前は妻が家で面倒を見ていました。

前回長男が生まれた時は一ヶ月の育児休暇を取り、今回は二ヶ月の育児休暇を取りました。会社の制度的にはさらに育児休暇を取れるし、それでも足りなければ別の休暇制度や時短勤務を組み合わせたりできます。最初は三ヶ月育休を取るつもりでしたが、長過ぎると仕事に対する自分のモチベーションに影響がありそうだったので今回は二ヶ月にしました。

子どもたちの手

(子どもたちの手。お兄ちゃんの手はずいぶん大きく)

育児休暇を取る上で何をしたか?

早い時期にマネージャーや同僚に「育児休暇を取る!」と宣言したり、自分がクリティカルパスとなるような仕事を避けたり、チームメンバーに仕事の肩代わりをお願いしました。他の人に仕事のしわ寄せが行く心苦しさはあったものの、私の所属しているチームは出産を迎える社員が年に何人かいて「数ヶ月の育児休暇を取るのは当たり前」みたいな空気が醸成されているので、私も気軽に取得することができました2

前述の通り、私はオープンソースの開発プロジェクトに参加していて、そこには社外の開発者も多くいます。社外の人への周知はコードレビューシステムにステータスを表示する仕組みがあるのでそれを使いました3。そのおかげか休みの間はコードレビューの依頼などはほとんど来なかったです。

コードレビューのステータス表示

(コードレビューシステムの画面。ユーザ名の横に自由にステータスを表示できる)

育児休暇中何をして、何を思ったか?

育児休暇というと新生児の育児や母親の産後ケアのための休暇という印象が強く、前回の育児休暇は実際そんな感じだったんですが、今回はそれに加えて長男と向き合う時間が多かったです。長男とは動物園や遠くの公園へ遊びに行ったり、4 月から通う幼稚園の自由登園に参加したり、体験レッスンに行って新しく習い事を始めたりしました。

水揚げされたスワンボート

(井の頭恩賜公園に行ったら「かいぼり」中でスワンボートが水揚げされてた)

また子育てに取り組む上で圧倒的に情報が足りないと思い、育児や教育に関する本を意識的に多く読んでいました4。育児や教育に関する本の多くは科学的な研究結果から導かれたものではなく、先人の環境では何となくうまくいった話がほとんどです。かといって全く役に立たないかというとそんなことはないと思っていて、なるべく細かい話に惑わされずに本質を捉えることを意識して読みました。良いなと思ったことや納得感のあること、どの本でも共通していることを抽出しつつ、私たち家族に合う習慣や仕組みをうまく取り入れることができたと思います。

一方で、生活環境の変化や接している時間が長くなったことで子どもと感情的にぶつかってしまうことが増えてしまいそれが精神的に辛かったです。メンタルをコントロールするのはとても難しい。子ども相手にこんなにも感情的になってしまうのかと自分に驚きました。今までは出社して子育てから離れる時間があったおかげで心にゆとりがありましたが、それがなくなって連日ずっと一緒にいるとどうしてもイライラするときがあって、子どもへの対応が雑になったり感情的に怒ってしまって後で後悔することがありました。自宅で子育てをしてくれていた妻の大変さが改めて分かりました。精進せねば・・・

仕事に関して

育児休暇に入る直前からクリティカルなタスクをなるべく避けていたので仕事はほとんど何もやっていませんでしたが、復帰時にメールを一気読みするのが大変そうだったので時々メールの流し読みはしていました。わずか二ヶ月の間に会社やチームにいろいろなことが起きていて変化の速さにびっくりしました。

自分は日々成長や進捗の実感が得られないとメンタルがやられるタイプで、二ヶ月間ソフトウェアエンジニアとして何もしないことに不安があったため、隙間時間を見つけては技術記事や技術書を読んだりしていました。あと社外のソフトウェアエンジニアの動向をウォッチして、業界の技術トレンドや自分のキャリアについてぼんやり考えたりしました。本業に集中していると自分の社会的なポジションというのがだんだん分からなくなってくるので、こういった時間を取れたのは良かったです。

まとめ

ざっくりと育児休暇に向けた準備や休暇中にやったこと思ったことを書きました。育児休暇は単なる育児に留まらず、家族や自分についてじっくり考える良い機会になりました。いろいろありましたが、家族と濃密に過ごしたこの二ヶ月はとても良い思い出です。

最初に書きましたが、置かれている状況によって育児休暇のスタイルも千差万別だと思います。他の方 (特にソフトウェアエンジニアの方) の体験談も是非聞いてみたいです。

注釈

  1. 実際には年末休暇からそのまま育児休暇に突入したので二ヶ月半くらい休んでいます。 

  2. 先人がそうしたように、あなたが育児休暇を取ることによって後の人たちも育児休暇を取ることができるので、気兼ねしてはいけない。 

  3. GitHub でホストされているような一般的なオープンソースプロジェクトでオーナーが長期間休みを取る場合ってどういう風に運営してるんですかね? 

  4. 電子書籍なら抱っこして寝かしつけながら読めて便利。